オカンハック

母親目線での「便利!」を備忘録的に書き溜めていこうと思います。

「雇用のカリスマ」がクランボルツ理論で「夢」を切る!「クランボルツに学ぶ、夢の諦め方」の出版記念講演に行ってきました。

海老原 嗣生さんの出版講演を聴きに行きました。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/海老原 嗣生

海老原さんは、転職サービス「リクルートエージェント」のソーシャルエグゼクティブを務める、「雇用のカリスマ」と呼ばれる人物です。
今回、4/25発売の「クランボルツに学ぶ、夢の諦め方」の出版記念講演を全国各地で行なっています。

夢(理想のキャリア)と現実はなぜズレてしまいがちなのか?
夢の見切りどきはいつなのか?
子供や学生から相談された時に、どう指導すればいいのか?
というのが、今回の趣旨です。

100人ほどの会場はいっぱいでした。
人事関係のスーツのおじさまが半分、そして、柴田 朋子さんの呼びかけでママやご家族が半分といったところです。
お笑い芸人などの例をもとに、終始笑いの絶えない90分でした。

育休後復帰すぐでヨレヨレなので、要点だけ。

「クランボルツ」って誰?

1928年生まれの、キャリア研究家です。
下記の「計画された偶発性理論」を提唱した人として有名です。

個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/計画的偶発性理論

「偶然を設計する」というとおかしな話ですが、
例えば「長い下積みを経て、偶然才能を見出され……」
という奴です。
下積みがなければ、チャンスが来ても気づかなかったり、失敗してしまいます。

実はキャリア理論は、まだまだ日の浅い学問です。(いかに生きるか?って、哲学や宗教の分野でしたよね。)
クランボルツは、そのキャリア理論のベースを築いた人の1人です。

夢は叶わない事が多い

スタートラインに立つことすら容易ではない

例えばプロ野球選手になるとして、
リトルリーグに入ってソコソコの成績を修め、
名門校に入り、
高校野球で注目の選手となり、
ドラフト指名を受ける。

ドラフト指名という、プロ野球の入口の段階で、ここまで絞られます。
入口に立てる人は、そもそもスゴいんです。

スタートラインに立つ勇気を持てない人が多い

またあまり知らない「野球」で例えますが、

ハンカチ王子こと斎藤佑樹選手と
マー君こと田中将大選手。

高校卒業後、斎藤選手は大学に進学し、
田中選手はドラフトで楽天イーグルスに入団しました。
4年後斎藤選手はプロ入りしますが、期待されていた割に成績が奮いませんでした。
反面、マー君は大リーガー。

斎藤選手がそのままプロになっていたら、どうだったのかな?
というIFは、よく言われます。

しかし、ここぞの時に日和って安パイに流れた経験は、あなたにもありませんか?
勇気を持つことは、とても難しいことです。

熱意や興味は変わりやすい

子供の頃の夢はなんでしたか?

イチローなど、小さな頃から夢に向かって努力を続けていく人もいますが、
多くの人はコロコロ変わってきたのではないでしょうか?

継続は力なりですが、気分に波があったり、スランプに陥ったりと、なかなかどうして難しいです。

チャンスは運頼み

いくら隠れた才能があっても、
「面白そうだからやってみようかな?」
などのきっかけがないと、その道に進むことはありません。
そして、そのきっかけは、偶然もたらされます。

歌舞伎など、既定路線に見える世襲の世界であっても、「役者の家に生まれた」という偶然といえます。

努力する上でも、良き指導者やライバルに出会えるかは運次第です。

キャリアは8割がた運に支配されています。

それでも夢に向かって行動することは、無駄ではない。

楽しい

夢に向かって努力する人は、キラキラ輝いて見えます。
今までできなかったことができた達成感や、その過程で満たされる知識欲は、まんざらでもありません。

夢や目標は、人生を豊かにしてくれます。

経験は蓄積できる

私の場合、このブログを始める前に、仕事で仕様書の作成などを行なっていた経歴があります。
また、父も趣味でプログラミングを行なっていて、Windowsを黎明期から触らせてもらったり、
学生時代は、小説や漫画を読み漁っていた経緯もあります。
そのため、文章作成やPC操作のハードルは、一般の方よりも低くなっています。

元々、ゲームプログラマーラノベ小説家になりたかったのですが、
プログラマーを10年以上やらせてもらっていて、趣味でブログを書いている今は、当たらずと言えども遠からずなところにいます。

経験は、ふとしたところで繋がります。
その分野では芽が出なくても、別の分野に移動した時に強みになることがあるので、色々やってみると引き出しが豊かになります。

ただし、『つまみ食い』ばかりしていると、蓄積できるものもできません。
「やり切った!」
と心から思えるまで、試行錯誤してみることも大切です。

身の程が分かる

チャレンジすることで、自分の実力や足りていないところが発見できます。
トライしたあと、成功や失敗という結果を、謙虚に受け止めることが必要です。

ケジメをつけられる

例えば、あなたに好きな人ができ、勉強も手につかない日々が続いたとします。
そのまま悶々としているうちに、卒業して会う機会を逸してしまったらどうなるでしょう?
「あーあ、告っておけばよかった……
もしかしたら……」
と、あなたは叶わぬ恋に更に執着してしまいます。

こうなると、妄想の中で盛りまくった相手とのラブロマンスにひたり、次の人を見つける気がなくなってしまいます。
なら、さぱっとフラれて夢にケジメをつけたほうが、まだ引きずらなくてすむのではないでしょうか?

クランボルツの5条件を生かしたキャリアの歩み方

1.【冒険心】でトライする

指を咥えて見ているのではなく、実際に飛び込んでみましょう。
業界の人に話を聞いたり、アルバイトを経験するなど、身を以て味わいましょう。

入口まで来れたらしめたものです。

2.【楽観的】に【持続】する

「そこそこの成功者」と呼ばれる人は、ある団体の中で上位20%ほどと言われています。*1

不遇の日々が続いても、腐らずに努力し続ければ、チャンスが巡ってくるかもしれません。
それまで【悲観的】に計画し、じっくり土台を固めることが大切です。

3.【好奇心】【柔軟性】を持って、自身の可能性を広げつづける

誰でも失敗は嫌なものです。
慣れてきて、自分の得意分野が分かってくると、挑戦を避け、安定を求めて視野狭窄になってしまいます。

しかし、年齢や立ち位置に応じて、外部から求められるものは変化していきますし、
自分自身も知らず知らず、扱いづらく、怠惰な態度になってしまいます。

チャンスとは

チャンスは、自分の能力を引き出す場です。
チャンスかどうかは、2点を同時に満たしているかがポイントです。

  1. 少し背伸びしたくらいでギリギリ届きそうか
  2. 自分を活かす場があるか
  3. 途中で撤退が難しいか
相手からのオファーはできるだけ受ける

ビジネスの場において、もたらされたオファーは「ちょっと背伸び」くらいまでならできるだけ受けておきましょう。

ビジネスパートナーは、あなたの失敗で損失をくらいます。
オファーが来るということは、少なくとも「なんとかしてくれるはず」という勝算があってのことです。
もしかしたら、あなたが気づいていない能力を見抜いているかもしれません。

夢の見切りどき

自分が好きでやっていることだけど、イマイチ反応が悪い。
自分って才能ないのかな…と、自信がなくなる時があります。

熱意と能力も、努力と能力も、それぞれ完全には比例しません。
海老原さんは、「才能は『プロとして入口に立てるだけの能力』」と言っています。

アイドルになりたくても、オーディションに滑りまくっているなら、残念ながら才能がないのかもしれません。
(オーディションすら受けないのは、論外です。才能を評価できません。
試験なら採点不能で0点です。)

しかし、今はネットラジオなどセミプロでも通用する場があります。
そこで挑戦を続けて才能を磨くのがよい、と、海老原さんは勧めていました。

私見ですが、差別化をはかるネタとして、サブスキルとして使うのもアリ*2ですよね。

諦めてキャリアチェンジをするのも、クランボルツの【冒険心】【好奇心】【柔軟性】が関わってきます。

感想

今までの自身の経験と結びついて、頷けることがいっぱいの90分でした。

今回テーマとなったクランボルツの理論は、恋愛や婚活でも言えますね!
若い頃はカッコいい人に惹かれていたのに、
婚活中は性格と年収がポイントとなり、
出産後はイクメンが良かった!と後悔する、
みたいな。

変わるのは仕方ない!
でも、それを踏まえて、どう行動するかが大切だ!

人生の良し悪しなんて、本人しかわからないし、それこそ塞翁が馬。
ゴッホみたいに、死んだ後でも覆ります。

子育てに活かすクランボルツ

子育てに活かすにあたり、以下を気をつけたいです。

  • 環境が大事!きっかけを掴めるように、いろんなことを体験させてあげたい。
  • やりたい事に心置き無く向かえるように、教養やしつけはしていかないと。無論、学資も…
  • お手伝い(仕事)はさせよう。その時には、「ちょっと難しいかな?」を意識。
  • 親である我々は、きちんと夢と向き合っているか?(夢の押し付け注意)
  • 挫折した時でも、過程や努力を褒めてあげれるようになりたい。

モヤっとポイント

今回、時間が押して質疑応答がほとんどありませんでした。
後からいくつか質問事項が浮かんできたので、メモします。

  • 「成功者は上位20%にいる」のか、「上位20%を成功者とする」なのか?定義が違う気がする。「花の◯◯年」も「不作の年」でもプロ入りする人はいるが、その2人は同じ能力なのだろうか?
  • 成功は相対評価なのか?相対評価の指標となる偏差値は、「平均値からの乖離度」なので、選別後の母集団なら、平均点はあがるし、平均が上がれば「出来損ないライン」もあがるのでは?*3集団の定義を変えたら、成功者の定義も変わりそう。
  • 何をもって「成功者」とするか?出世や年収は分かりやすいけど、その尺度だけで成功を測っていいのか?
  • 「チャレンジし続ければ、次の夢は見つかる」と行っていたけど、「燃え尽き症候群」に陥ったら?いい燃え尽き方とは?

海老原さん、ありがとうございました。
同じ公演は、大阪や広島など、全国で行われます。
ぜひ生の「海老原節」を聴きに行ってください。

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*1:上位20%を成功者と呼ぶんじゃないかな?定義が逆なんじゃないかな??思うのですが。

*2:暦オタアイドルとして活躍している小日向えりさんなど

*3:正岡子規は英語が苦手だったとされますが、英語の原書を読んでいたというエピソードがあります。