ABD読書会で「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」を読みました
こんにちは、カーチャンです。
先日「名古屋ワーキングマザーの会」主催の「第5回 ABD読書会」に参加しました。
課題図書は「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」です。
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
- 作者: ヤニス・バルファキス,関美和
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/03/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Amazon「経済史」カテゴリ第一位のベストセラーで、経済の仕組みを経済用語を使わずに極力分かりやすいように説明した本です。
十代の娘の「なぜ、世の中にはこんなに格差があるの?」というシンプルな質問をきっかけに、元ギリシャ財務大臣の父が経済の仕組みを語る。「宗教」や「文学」「SF映画」など多彩な切り口で、1万年以上の歴史を一気に見通し、「農業の発明」や「産業革命」から「仮想通貨」「AI革命」までその本質を鮮やかに説く。
ダイアモンド社 書籍情報ページより
今回はこの本を「ABD読書会」方式で8人の方と共に読みました。
- ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ®︎)とは
- 読んで要約するのがすでに大変
- リレー・プレゼンで「今北産業」
- ダイアローグで深める
- 本の感想
- ABD読書会の5つのメリットと1つのリスク
- 関連ページ
- 関連商品
ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ®︎)とは
www.abd-abd.com
アクティブ・ブック・ダイアローグ®︎とは、竹ノ内 壮太郎氏が開発した新しい読書会の方式です。
従来の読書会では、各自が課題図書を読み読んできて、感想をシェアする流れになりますが、
アクティブ・ブック・ダイアローグ®︎では、
章ごとに担当を割り振り、担当部分の要約をまとめ、(コ・サマライズ)
全員の前で発表し、(リレー・プレゼン)
共有した内容に対して話し合って深める(ダイアローグ)
過程を通じて、短時間で全員が内容に対する理解を深めるという形式になっています。
全員で並行して読み進めることで、短時間で読み終えることができ、
要約とディスカッションを通じて理解を深め合うという、子育てに追われてじっくり読書できないママたちにぴったりの読書会形式です。
読んで要約するのがすでに大変
ABD読書会では、最初に章ごとに断裁した本から好きな章を選び、読書を行います。
しかし主催の方5人含め、ほぼ全員1歳前後の赤ちゃん連れで参加。
お互いに子供の面倒を見ながら、約30分で読んでまとめなければなりません。
宙を舞うおもちゃ!泣く子供!投げ捨てられる本!
という、カオスな空間での読書。
隙あらばくしゃくしゃにされるメモとペンを死守しながら、自分の担当分を読み進め、並行して要約を書き出します。
でも経済学って「ちゃんと理解したいとは思っているけど、やっぱりよくわからなくて挫折するジャンルNo.1」じゃないですか。
ただでさえ理解できない内容が、章で分断され更に理解できない(笑)
私は6章の担当だったのですが、後半の章になればなるほど「前章で述べたとおり……」と、知ってる前提で話が進みます。
ヤベェ、初参加なのに章のチョイスしくじった。
おまけにこの本でわかりやすくするために、多くの例えが使われているのですが、
ギリシャ神話やスタートレック、マトリックスなど、日本人女性には馴染みのないものばかりで、余計わからん!
「これ絶対『娘』は話についていけないんじゃないの?」
という、どなたかの呟きが印象的でした。それな。
5ちゃんで良くある「よく分からないから誰かガンダムで例えてくれ」の欧米版なんでしょうね。
リレー・プレゼンで「今北産業」
時間を延長してもらって、ヒーヒー言いながらA4数枚にまとめて、前方の衝立に掲示。
全員が掲示できたところで、第1章担当者から、順番に自分の担当分を2分という制限時間で発表します。
20ページを2分。まさに「今北産業」*1。
これがまた難しい。
「感想を挟まず、サマリのみで」
という説明を聞いていましたが、感想を挟む暇なんてありません。要約を話すだけで精一杯。
他の人の話を聞いて「えっ!そういう話だったの?」「そこと繋がる?」と気づいて
自分の番までに話を組み立て直したり…
「読む」「まとめる(書く)」「聴く」「話す」と、必要なスキルが次々と変わって、目が回りそう!
ダイアローグで深める
全員のまとめを読み返し(ギャラリーウォーク)、議論を深めたい箇所をチェックてディスカッションしたい箇所を決めます。
多くの人がチェックしたのは、2章の「交換価値VS経験価値」とエピローグの「君は理想の世界に行きたいか? 」でした。
今、「価値」というと、交換する金銭の寡多で決める「交換価値」の方を指します。
ただ、これは近現代に入って加速された価値観で、これからはその揺り戻しで、気持ちを満たす「経験価値」にシフトしていくのでは?というのが筆者の見解でした。
タカラトミーの「人生ゲーム 令和版」でも、お金ではなくフォロワー数で勝負していました。
では、「金銭に振り回せされてはいけないよ」と、子供たちに教えるためには、何をすればいいんだろう?と、ママ視点の話し合いが行われました。また、エピローグでは、「買い物は企業への投票だ」と述べられていたことも、印象的でした。
安かろう悪かろうのデフレを生み出しているのは、私たち消費者自身かもしれません。
本の感想
私が担当した6章は、「自動化(機械化)によって、一部の人たちが富を独占している。」という内容でした。
そのため、ベーシックインカムのような「恩恵を再分配する仕組み」が必要と、筆者は説いていました。
でも、今はその富の分配を行なっているのが、筆者が「資本主義のブタ」と言わんばかりの政府や企業であるだけで、
「富の再分配を公平・公正に行うには、誰がどう行えばいいのか」について揉めているのが、人類の歴史では?知らんけど。
ましてや、筆者って2010年ごろの「ギリシャ危機」の張本人みたいな立場だよなぁ…
対応に追われたドイツ人が、本を読んで (#^ω^)ビキビキ しなかっただろうか、と、勝手な心配をしてしまいました。
この本には繰り返し「価値」というキーワードが出てきました。
街を歩くと「価値ある家」「市場価値の高い人材になるには?」と、全てのものに値付けがされいているような錯覚を覚えます。
「人は生きているだけで、代え難い価値がある」みたいなことを言われますが、
現実には、それと反対のメッセージが垂れ流されていますよね。
なんだかんだ文句つけてみるものの、
「交換価値だけで、本当に価値は測れるのか?」ということを考えてみるきっかけになる本でした。
ちなみに、今年のあいちトリエンナーレのテーマは「情の時代」だそうです。
メッセージを感じますね。
ABD読書会の5つのメリットと1つのリスク
今回初めて参加しましたが、「一人で読むと挫折しそうな本を読むために最適な方法」だと思いました。
具体的には、以下の点が良かったです。
- 参加者は準備不要
- 読む量が少なく、集中が必要な時間が限られている(子供がぐずる前に読み終えられる)
- 要約により短時間で全体がつかめる
- 仲間と励ましあって読める
- 読む、書く、聞く、話すという4つの言語能力をまとめて鍛えられる
ただ、要約を聞いて全体像を理解する形式のため、
要約が拙かった場合や、要約を聞いても自分の中でうまく繋げられなかった場合、作者の意図と異なった解釈をしてしまいそうなのが怖いと思いました。
もし、しっかり理解したいなら、ABD読書会で全体をざっと把握した後一人で読み返す方が良いと思います。
全体構造を把握してからの方が、読み進めやすいですよね。
推理小説も、トリック聞いてからもう一度読むと伏線に気づけたり、サブキャラの心情を追えたり……
え?違う?
なんだかんだ言っても、これだけの難しい本の全容把握をできるのは、素晴らしいと思います。
参加した方も、「自分一人では挫折していた。」「理解できなかったことが、別視点からの意見で納得できた」など
好意的な感想があげられていました。
本の裁断や、場所・機材の用意、ファシリテートなど、主催された方は普通の読書会以上に大変だったと思います。
主催していただいた、「名古屋ワーキングマザーの会」の皆様、ありがとうございました。
関連ページ
「名古屋ワーキングマザーの会」のページはこちら。
非公開ページとなっています。参加したい場合は、参加希望メッセージを送ってください。
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関連商品
今回の課題図書。
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
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先日読んだこの漫画に、似たようなことが書いてありました。
もう少し易しい内容なので、上記の本で挫折した方はぜひこちらも読んでみてください。
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