オカンハック

母親目線での「便利!」を備忘録的に書き溜めていこうと思います。

パラダイム・シフト後の世界を生きる君へ。人工知能の実用化後の未来で食べていける力とは?!(要約編)

キャリアコンサルタントの柴田朋子さんが登壇されるということで、「人工知能の進化の最前線を学び、今後の働き方、子育ての仕方を考える」という講演会に行ってきました。

人工知能(AI)というと、ドラエもんやアトムなど、昔はSFの中の存在でした。
しかし、ペッパーくんがコンシェルジュ業務を行うなど、現実のものとなりつつあります。

産業革命は、肉体労働を代替しました。
今起こっているIT革命は、頭脳労働や情動活動を代替します。
社会の構造が大きく変わる中で、価値観はどう変わっていくのか、変化した価値観がベースの社会で、どんな人材が求められるのか、という内容です。

主催者は働きごこち研究所の藤野貴教さん。
メインスピーカーは、ITジャーナリストの湯川 鶴章さん。
ゲストパネリストに、キャリアコンサルタント柴田 朋子さん、人工知能エンジニアの遠藤 太一郎さんをお招きしている、超豪華な布陣です。

ざっくり内容の振り返りをします。

前説 人工知能の導入事例(藤野さん)

コールセンター業務の改善例と、人間の既成概念を超えた食の組み合わせを提案してくるシェフAI*1について紹介。

AIの導入で定型業務も変わる。
クリエイティブとされるシゴトも変わる。
これから「仕事」が、「社会のしくみ」が、「価値観」が、全て変わる時代に突入する。

第一部 人工知能の最前線。そして、人間はどう生きていくか。(湯川さん)



明治以前、国家の強さの基準は「富国強兵」と呼ばれるように軍事力だった。
2度の世界大戦と冷戦を経た今は、経済力である。
しかし、IT革命で、資本主義の次の時代へと移りつつある。

画像解析など、一部の分野では人間よりも「賢い」AIが登場しつつある。
今話題のディープ・ラーニング*2により、人工知能は、「概念を構築する力」を得た。
そして、センサーなどの発達で「目や耳」を得た。
今までが、関数という「脊髄反射」や「本能」で動いてきたとしたら、まさに人間の赤ちゃんのように「考える」ことができるようになってきたと言える。

前述のコールセンターのように、記憶する、調べる、定型的に判断するといった頭脳労働も、コンピュータが代替できるようになりつつある。

では、「人間が関わるべき作業が僅かになった時代」に、社会はどうなるのか?
仕事が無いため、対価としての「賃金」が流通しなくなる。
お金が流通しないので、ベーシック・インカムなど、「生きていく上で、お金が介在しない社会」になる。
つまり、資本主義が崩壊し、お金ではない、次の価値観の世界がやってくる、と考えられる。
それは、「人間性」「本質をつかむ」時代であると考えられる。

しかし、その社会はすぐにやってくるとは限らない。
また、次の価値観がどんなものか確定しているわけではない。
今この瞬間を生きるために、今の時代に必要なビジネス・スキルも大切にしながら、変化に適応できる力、
即ち、他人を愛し慈しむ力、好きなことを見つけ没頭できる才能、自己肯定感を養っていく必要がある。

第二部 パネルディスカッション「人工知能時代における、働き方と子育てのあり方」

「過渡期」とは後何年先?

湯:テクノロジーのスピードによる。
iPhoneの登場により、20年前から騒がれていたユビキタス社会がここ2〜3年で訪れたように、技術的な壁とその破壊が、いつどんな風に起きるか、道が開かれたばかりなので進んでみないと分からない。
また、クローンのように倫理上・利権上などなど受け入れる人間側の壁は当然でてくるはず。
それら次第で、その先がどうなるか、「その先」に移行するまでどれくらいかかるか、変わってくる。

プログラミング教育は子供にさせるべき?

遠:プログラミングは、やっていて楽しく、手に職となり、論理的思考も身につく。
ただ、向き・不向きがあるので、全員がスーパー・プログラマを目指す教育はやらないほうがいい。
あくまで、「仕組みを知る」「きっかけ作り」として、機会を与えることは賛成。

柴:ひと昔前の「英語」が「プログラミング」に置き換わっただけ。
グローバル化」って言ったって、愛知から出ないじゃん?愛知県民って(笑)

では、これから子供には何をさせるべき?

藤:あくまで私見だが、「『損得ベース』で『させてやる』」という発想自体が古くなるのでは。
「自らやりたいことを見つける力」や、「自分で取り組み方を考え、やり抜く力」は、親が無理やりやらせては育たない。
やりたいことを見つけるためにあれこれ体験させてあげたり、やりたいことがあれば応援してあげれば十分だと思っている。

柴:小5で自由な発想ができていた子供たちも、中学生になると、妙に聞き分けが良くなる。
これからの子供はあえて試行錯誤させること、あれこれ考えることができる「ヒマな時間」を与えること、何より親が「充実した生き方とは何か?」を実際の行動で示すことが、何よりの教育になると考える。

未来のイケている仕事は?

湯:「AIに何をさせるか」設計する人が圧倒的に不足している。
当面は、こういう人が必要とされる。
また、単純にコンピュータに置き換えられない、クリエイティビティやホスピタリティを持つ人も需要がある。

藤:「脳波で動くネコミミ」など、日本人はシリコンバレーにはない発想を持っている。
新しい発想を産むためには、テクノロジーを知ることと、妄想することが大事。

柴:イマジネーション(妄想)に必要なのは、物語や自然を体感して、体験を他者と共有できる言語化能力。
子供は、いついかなる状況でも、親が意図たことも意図しないことも学ぶ。
子供のうちは、沢山体を動かし、失敗・成功ひっくるめて、実体験をたくさんさせるべき。

湯:身体性という意味では、今、アメリカで「マインドフルネス」や「禅」「瞑想(メデティーション)」などが注目されているのが興味深い。
自分の心が今どんな状態か、自分の内面を見つめなおす動きが出てきている。
興味深いことに、「ヨガ」「自然食品」など、女性の方が「自分と向き合うこと」に関心が高い。
ガチガチ左脳の男性が、しなやかな右脳の女性に追いついてきた。

自己肯定感を育むには

遠:「無償の愛」を、自分から自分に与えることが大事。
心の中に眠っている子供の頃の自分(インナーチャイルド)をないがしろにしないこと。

柴:無償の愛の基本は、幼少期における親から子への愛情伝達。
しかし、自分自身に余裕がないと、なかなか他者に愛を分け与えるのは難しい。
「子供のため」と、頑張るのは吝かではないが、前提として、親自身が自己肯定感を持つことが大切。

最後に

湯:自分が心地よい状態になることで、子供達に良い影響を与える。
未来のことなんて、誰にも分からないんだから「〜だと思うよ」の後に、「知らんけど。」をつけれるくらいのユルさを持って。

遠:自分が興味があることを突き詰める。
ただ本を読むのではなく、「これをやりたい!」というアウトプット前提で学べば、学びの効果が高くなる。
知識はピラミッド型。
プログラミングをやりたければ、数学の知識や、文献を読むための英語の知識などが必要になる。
今までのように無理やり詰め込まなくても、興味があるものから順番に広げていけばいい。

柴:人間には、「共感能力」がある。
子供の失敗を、自分の失敗のように感じて、思わず障害を取り除きたくママの気持ちはわかる。
しかし、「トライアンドエラー」も、しなやかな精神を育むために、なくてはならないステップなので、「失敗して痛い目をみる機会」を奪わないであげてほしい。
(寝坊しても起こさない、忘れ物を届けない など。)

藤:「テクノロジーの情報格差」が広がっている。
大企業の中でも、「知ってる人」と「知らない人」がいる。
今からキャッチアップしておかないと、どんどん乗り遅れてしまう。
アンテナを張って、「知る」だけでなく、「やってみる」までステップを進めて、「どういうものか」「やれること、やれないことは何か」きちんとハラ落ちさせることが大切。

*1:ただし、AIが提案したレシピは、意外性はあるけど美味しいとは限らないのがミソ(笑) サイゼリヤの「おいしいを計測するシステム」と連動したら、おいしいレシピを考えつくかも??

*2:大量のデータから、処理の判断基準をコンピュータが自ら見つけ出す技術