オカンハック

母親目線での「便利!」を備忘録的に書き溜めていこうと思います。

鼓腹撃壌なのだろうか

柴田朋子さんのブログ記事を読んだ感想がぐちゃぐちゃしたので、こっちにまとめます。

(この方を尊敬しているし、とても助けていただいていますが、
自分の中で引っかかったので、ある意味個人的雑感です。)

ブログから受け取ったこと

ブログから引用いたします。
柴田さんは50代で、リクルートの人材情報誌の立ち上げに携わり、
現在もあちこちで講演しているキャリアコンサルタント=人材育成のプロです。

人それぞれである、という大前提を置きつつ、完全に老婆心で頭がくらくらする瞬間。それは、研修の場で20代の人に
「楽ならなんでもいいんですよ。別に」と言われた時。

市場価値を高めることは、自分の手に握っている人生の選択肢の球種を増やすことでもある。今は楽が一番だと「面白おかしく」働いていたとしても、10年もたたないうちに責任ある立場に遭遇する。難易度の高い仕事が渡される。そしてそのとき「いくつかの基本的なもの」が抜け落ちている自分に出会う。
(中略)
どんなに安定して穏やかな職場でも、うっかりついてしまった職責を無視して暮らすことはできない。そして、20代に「楽」に流されたあと、よほど気持ちを切り替えない限りそのころより楽しくはならないだろう。

そんなこと(「楽に生きたい」という願望)にジリジリしちゃうのは、わたしが「一度はきちんと仕事の喜びを味わってほしいなあ」とお節介に思っているからなのかもしれないけど。

漫然と働くのではなく、自分の課題に向き合い、市場価値を高めよう。
きちんと仕事の喜びを味わい、自分の軸を作ろう。

それはキャリアコンサルタントとして、沢山の人を見てきた柴田さんの立場として当然だし、
今困ってる自分もいるのだけど。

疑問1:本当に「職責」ってつくの?

「キャリア10年目でこれ?」
とか、まぁそういう方はたまにいらっしゃるけど、(私もな)

例えば「リーダー」だと、「下」に3〜5人のメンバーがいることになる。
そして、「人材不足」社会で、下が入ってくる人数は少なくなっている。
対して、福利厚生やらなんやらが厚くなっていて辞めにくくなり、ポストはつっかえている。

加えて、派遣などの非正規職は、男女共増えている。
派遣PGしていますが、そこに在籍してるのは私1人だけってケースも多かったし、
更に「リーダー役」は少ないんじゃないかな?

……本当に「職責」とやらはつくの?
↑まぁ、そう考えて努力しない奴のところには、さらに回ってきにくくなるけど。

疑問2:仕事≒キャリアじゃなかったっけ?

柴田さんの今までの講座をいくつか受けてきて、「人生そのものがキャリア」と言っていたような…

拘束時間や規則、チャレンジの種類ふくめ、仕事がキャリア形成に最も効率がいいということは分かりますが、
専業主婦しながら、隠れて漫画家している人や、
自分の店を持ちながら、掛け持ちでバイトしてる人もいる
世界的なEスポーツの大会に出ている看護師さんもいるし。←流石に直の知り合いではないけど

「今は産業構造が変化していて、本業一本じゃなく、多様なキャリアがある。」
……のではなかったかなー

職業基盤や仕事観が形成される20代は特に重要って言いたいのかな??

疑問3:「やりがい搾取」との線引き

市場価値、つまり人生における多様な球種や拠り所となる必殺技を持つことの重要性はわかる。

卒業後すぐ結婚して職歴のない知り合いが、
「ようやくパートに出れるようになった。
子供の手も離れたし、お金貯めて離婚してやる。」
と虚ろな目でつぶやいていたのが忘れられない。
また、ビルの掃除を腰の曲がったシルバーさんがやっているのを見ると、
なぜかすごく申し訳ない思いになる。

一方経営者や、転職支援業界サイドにとっても、
箸にも棒にもかからん奴が大量に来るより
価値の高い人材がよりどりみどりのほうが喜ばしいはず。

でも、メンタル病んだ知り合いの保育士の話や、
電通過労自殺のニュース、
若くして亡くなったマイナークリエイターの訃報を聞くたびに、
「仕事の喜び」ってなんだろう?それ、体や生活壊してまで必要なもの?と、思ってしまうし、
「奴隷は生かさず殺さず、希望のみ与えよ」と言わんばかりの、やり手経営者のドヤ顔インタビューは、破り捨ててやりたくなる。

弊社はじめ、引くような時間に返信メールが返ってくるような会社も多いし、
私も(検閲)だったことあるし。

もしかしたら、その人の「楽に仕事する」の基準は、「労基法に違反しない」とか、「健康で文化的な生活を送れる水準で。」とかいう意味だったりしないかな?と。

キャラグッズジャラジャラの痛バ持って2.5次元舞台(*1全通しつつ、「こんな給料じゃ貯金できない…」って嘆く人や、
ソシャゲに10万円以上課金して、徹夜でイベント回してる人には、
「将来大丈夫?」「そのリソース別のものに割いた方が良くない?」
という余計な心配をしてしまうのも事実だけど。

まとまってないまとめ

結局、「痛いとこ突かれたからもやもやイライラした」というのが結論なのかもしれません。

ブログにしろ仕事にしろ中途半端だし、
育児嫌いで、子供と遊んでいるとイライラするし。
家事も、シンクに洗い残しのお茶碗とかあるし。

タイトルの「鼓腹撃壌」とは、中国の故事であり
「ある王様が城下に視察にでかけたら、
庶民がおいしいご飯をお腹いっぱい食べながら、政権批判の歌を歌っていた」という内容です。
恵まれた境遇にいる人は、それが当たり前になっているので、それがどんなに素晴らしいか気づかない、という意味です。

きっと、食うや食わずの世界の人から見たら、生き甲斐だの自己実現だの語れること自体が、甘っちょろいんだと思います。

が、ちょっと無茶したなぁ、という月の、半分近く税金で取られた給与明細と延長保育料を見た後だと、「がんばるって、なんだろうな」と、
遣る瀬無い気持ちになるのです。

*1:漫画やゲームのキャラクターを俳優さんが演じる演劇。 「スパイダーマン」や「映画 刀剣乱舞」のようなイメージを持ってもらえれば。 デビ●マンやハリウッド版ドラゴン●ールは座ってなさい。