オカンハック

母親目線での「便利!」を備忘録的に書き溜めていこうと思います。

育休でJUMP会に参加しました。

こんにちは。カーチャンです。
前月に引き続き、前田 恭子さん主催、柴田 朋子さん中心の「育休でJUMP会」に行ってきました。

「育休でJUMP会」は、育休取得中のママが、育児をちょっと休憩してビジネスマインドを磨く交流会です。

いつも読書会 + ランチグループコンサル という形で開催していて、今回はエドガー・H・シャインの「人を助けるということはどういうことか」の 第5〜6章が課題図書でした。

人を助けるとはどういうことか――本当の「協力関係」をつくる7つの原則

人を助けるとはどういうことか――本当の「協力関係」をつくる7つの原則

前回の様子はこちら
okan89-blog.hatenablog.com

「人を助けるということはどういうことか」概略

この本は、支援すること・されることを通して、よい協力関係を構築するための原則が書かれています。
今回の読書会の範囲では、介入を開始するための「控え目な問いかけ」とそのケーススタディが範囲です。

控え目な問いかけ(Humble Inquiry)とは

控え目な問いかけ*1とは、5章の主題であり、シャインの他の著作でも度々出てくる言葉です。
固定観念で決めつけず、困りごとや状況そのものにフォーカスする問いかけです。

前回読んだ4章にて、最初は支援者は「プロセス・コンサルタント」の役割となり、クライアントが様々な事柄を打ち明けられる状況を作るべきとしています。
最初から上から目線(医師や専門家、指導者)で接するのではなく、お互いの認識を合わせ同じ目線に立つための問いが「控え目な問いかけ」です。

リアル・ケーススタディ

介入がうまくいかなかった例として、参加者のMさんが例を出しました。

先日、息子がお友達とトラブルを起こしました。
よその子を突き飛ばしてエレベータから降りてきたのを見てしまったのです。
息子がその子に謝らないまま、エレベーターはすぐ行ってしまいました。
相手が怪我をしている様子もなく、息子も気にいていない様子でしたが、
私は相手に謝らせるべきだと思い、息子に「なんで突き飛ばしたの?」と問いました。

息子はむすっとして、「相手が降りる邪魔をした」と言いました。
息子に謝ってくるように言いましたが、頑として譲りませんでした。
どのように接すれば、反省を促せたのでしょうか?

「控え目な問い」を阻害したのは何か?

まず初めに柴田さんがMさんに問いかけたのは、
「息子さんの様子を見て、どんな気持ちになったの?」でした。

Mさんは、
「『大変!やってしまった!』と思いました。
息子は口下手で頑固なところがあり、うまくコミュニケーションを取れていないのでは?といつも心配していたので。」
「そうなんですね。
『悪い関係を放っておくと、問題がこじれる可能性がある』と心配したから、『なんで突き飛ばしたの?』なのね。
つまり、4章でいうところの『医師役』からスタートしていませんか?」
Mさんは、ハッとした表情になりました。

特に子供が幼い場合、「親子」という力関係は覆せな位ほど強いものです。
また、生まれた時から長期間密に接しているため、お互いに「相手のことは分かっている」という甘えが生じやすくなります。
そのため、子供の思惑や立場を無視して「正しい道に導かなければ」という親のエゴをゴリ押しがちになります。

何度も同じようなシチュエーションに直面すると、「またこの子は!」と決め付けてしまいがちですが、
その感情を自覚し、一旦脇に置いておいて「控え目な問いかけ」をする冷静さを取り戻すことが必要です。

「なんで」は危険な質問

「『なんで突き飛ばしたの?』って、
『なんで突き飛ばしたのに謝らなかったの?早く謝ってきなさい』って意味よね。
それって、本書でいうところの『対決的な問い』じゃない?」

本書にありますが、質問にはいくつか種類があり、時と場合(関係性)によってふさわしい質問が変わります。
(キャリアコンサルタントの柴田さん、前田さんでも、どの球種にするかいつも悩むそうです!)
最初から高圧的に決めつけると、相手は萎縮したり反発して、意見や情報を拾い上げるのも難しくなります。
だからこそ、一歩一歩信頼関係を構築するような「控え目な問い」が重要であると述べています。

以前受講した「質問力」のセミナーでも述べられていましたが、
「なんでやらなかったの?(= やれ)」「本当に分かってる?(= 全然分かってないじゃないか)」という「質問ではない質問」「真意を隠した質問」をすると、信頼関係が一気に崩れてしまいます。

どういう問いかけが適切だったか

「『控え目な問いかけ』を実践するんだったら、
『今、何をしたの?』と、”突き飛ばした(っぽい)事実”にフォーカスするとよかったですね。
そうしたら『出るのに邪魔だった』『そうなの。”降りるからどいて”って言っても良かったんじゃない?』
…みたいに会話が続いたかもしれないですね。」

特に信頼関係を構築中の相手とは、「一緒に問題を解決したい」という意志を持つこと、
モノや事実、事象・経過に焦点を当てた質問(WhyではなくWhat)をすると良い、と言われました。

そうは言っても、「何もしていないのに壊れた!」という問い合わせに、「どんな操作をしましたか?」と聞いても、「何もしてないって言っているでしょ!」と、余計怒らせてしまうこともあるので、質問って難しいですね。

支援者が主役になってはならない

加えて柴田さんが指摘したのは、息子さんの問題を、支援者である母親のMさんが巻き取っていることでした。
何が悪くてどうすればよかったか、息子さん自身が考えることが必要なのに、
「親の監督不行き届き」という自身の問題として受け止めてしまっていました。

支援はクライアントが主体であり、クライアント自身が自分の問題を能動的に解決できることがゴールです。
支援者は、クライアントを尊重し、クライアントの歩みに合わせて道案内することが重要です。

まとめ

今回の読書会は、9/20に行われました。
本当はすぐにレポートを書きたかったのですが、何度書き直してもまとまらず、すごく時間がかかってしまいました。

この他にも「宿題すっぽかしボーイ」や「鍵かけ忘れボーイ」など、参加者さんからたくさんのケースが出て話しあいました。
「結局、本人が『自分ごと』として捉えないと、本気の成長はない。」
成長は『できる・できない』を振り子のように行きつ戻りつしながら、だんだん『できる』割合を増やしていくもの。
1回ダメだったからとと言って『もうやらせない!』と打ち切ったり、
『1回成功したのに何でできないの?』と問い詰めてはいけない。」
「『できる・できない』は、年齢ではない。クライアントの能力や経験によって決まるもの。
一足飛びにできるようにはならないので、スモールステップに分けて一歩ずつトライさせるのが良い。」
と、子育てや部下育成に関わる話を聞けました。

毎度毎度、遅刻や忘れ物をしてしまう私には、耳の痛い話です。

次回の育休でJUMP!会は、10/25(金)です。
最新情報は、前田 恭子さんのブログに記載されます。
受講にあたっての注意も書かれていますので、チェックしてくださいね。

人を助けるとはどういうことか――本当の「協力関係」をつくる7つの原則

人を助けるとはどういうことか――本当の「協力関係」をつくる7つの原則

◼️柴田さんのブログ

◼️前田さんのブログ

シャインのその他の著書

問いかける技術――確かな人間関係と優れた組織をつくる

問いかける技術――確かな人間関係と優れた組織をつくる

キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう (Career Anchors and Career Survival)

キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう (Career Anchors and Career Survival)

*1:シャインの別の本の翻訳では、「謙虚な問いかけ」になっています。