読後メモ 「育休世代のジレンマ」
こんにちは。カーチャンです。
柴田朋子さんがオススメしていて気になった「育休世代のジレンマ」をとりあえずひととおり読みきったので読後メモです。
「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)
- 作者: 中野円佳
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/09/17
- メディア: 新書
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著者
中野 円佳(なかのまどか)
東大卒。元 日経新聞の証券・経済・経済解説部記者。現在はシンガポールに在住し、フリージャーナリストとして活躍中。
中野円佳@『「育休世代」のジレンマ』、東洋経済オンラインなど (@MadokaNakano) on Twitter
中野 円佳 | 著者ページ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
概要
「ジレンマ」とは、2つの選択肢のどちらを選んでも何らかの不利益があるため、態度を決めかねる状態を指します。
本書では、2000年の改正 育児・介護休業法以降に入社した、「育休世代」の女性たち15人を調査し、キャリアや志向の変化を分析した研究書です。
本書の目的は 、有名大学を出て就職活動も勝ち抜き 、仕事をする気満々に見えた 「バリキャリ 」女性たちが 、制度が整ってきたにもかかわらず 、出産後に辞めてしまったり 、育児重視にシフトし 、仕事への熱意を失うように見えたりするのはなぜなのか 、という問いに答えることである 。
一見、ワークライフバランスが整っていそうな育休世代ですが、
依然として家庭(旧来の性役割)と仕事(自己実現という新しい価値観)の両立というジレンマに悩んでいます。
そういった意味では、「育児は仕事の役に立つ」とは育休復帰者の可能性と現実、
先日読後メモを書いた「働く女子と罪悪感」ととは、男女雇用機会均等法 第1世代と第3世代それぞれの対比というポジションになるでしょう。
育児は仕事の役に立つ 「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ (光文社新書)
- 作者: 浜屋祐子,中原淳
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/03/16
- メディア: 新書
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働く女子と罪悪感: 「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる (単行本)
- 作者: 浜田敬子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/11/26
- メディア: 単行本
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感想
書いてあることが難しくて、正直あんまり理解できませんでした。 _:(´ཀ`」∠):_
ただ、制度は整ってきつつあるものの、まだまだ「働き続ける」って運任せなんだな、というのが感想です。
キラキラ経歴の中野さんの知り合いを辿ってインタビューしているので、
ジャーナリストやゼネコン総合職など、ママもエリート、旦那もエリートというファビュラス✨な夫婦が取材対象となっていますが、
それでも退職したり、今の処遇に燻ってたりと、一般のワーママと変わらない悩みを抱えていて、
今の日本における、働く女性の普遍的テーマなんだと思います。
「だから諦める」はそんなに単純ではない
3〜7章のインタビューで、自身の職場、夫、ジェンダー観など、様々な要因で15人を分類、分析しています。
その中で本人の意欲だけではなんともならない要因が複雑に絡まり、
やっぱり誰もが「仕事を継続できるか迷うタイミング」が訪れるものだな、と思いました。
「若くして産まないと卵子の老化が」
「とはいえ、戻れるだけのキャリアは積んでおかないと」
「子供は自分自身の手で育てましょう」
「とはいえ、子供の病気などで突然休まれても困るんだよ」
などなどなどなど。
あっちを立てればこっちが立たず。
その葛藤の中で、当事者の15人のママたちは、退職したり、マミートラックに埋もれたり、転職して働き方を変えたりと、様々なキャリアを模索しています。
読んでいて、過去に知り合った人たちの顔がよぎりました。
女性だからケア要員確定?
意外だったのは、「男性並みに働きたい」というマッチョ志向の女性ほど、現実の壁にぶち当たり、「女性である」ということを突きつけられて挫折し、退職しがちということでした。
男性は、(今の社会では)結婚しようが子供がいようが「企業戦士」なのですが、
女性は妻、母、と役割が変わるのにしたがって、ケア要員としての比率が増えて、結果的に男性同僚との溝が深まっていくんですよね。
その溝を埋めるには、
当事者の妻が声をあげるだけではなく、
夫もケア責任を負う、
企業・社会もバックアップ体制を整える、
という、多方面からのアプローチが必要だと、本書ではまとめています。
まー産む産まないは本人たちの選択と切り捨てることもできますが、
今後は「介護問題」になっていきますからね。
「育児?関係ないね。」と、独身でバリバリやってきた人々にも親は居る訳で。
そうなったら、誰がいつ、どのくらいの期間、パフォーマンスを下げた働き方になるか、全く分からなくなります。
どこぞの医学部みたいに、性別で選り好みするのがナンセンスな時代になる可能性が大です。
(そもそも、散々お世話になった老親は、ヘルパー呼んだり介護施設に入れるのに、
なんで子供をシッターや保育園に預けるのは、「母親失格」という認識になるんでしょう?)
残ること、変えること
女性、パートナー、職場、社会。
みんなで変わっていかないと、少子高齢化のこれから先、更に社会が回らなくなっていく可能性が高いことが、分かりました。
「だから、女性も管理職になって会社に働きかけるだけでなく、
男性(パートナー)を巻き込め。」
と、本書の8章では書かれています。
やっぱり当事者じゃないと、分からないこともあるし、危機感も持ちにくいですよね。
とりあえず、私はそういう「社内政治」が苦手なので、まずは残留することで社内での育休復帰のケース数に貢献したいと思います。